神社検索

  • 神社を探す
  • 地図から探す
  • 市町村から探す
  • キーワードで探す



本文

HOME > ふるさとのお社探訪

ふるさとのお社探訪

豊玉姫神社「薩摩の水からくり」

豊玉姫神社

神代の昔、衣の郡(えのこおり)からそれぞれ知覧、川辺を治めるために姉妹の姫神がやってきました。二柱の神は行き先を取り違えて、姉である豊玉姫命が知覧を治められます。豊玉姫神社はそのご遺徳を慕って領民たちによって創建されたと伝えられ、一度消失して鎮座地が移ったものの、今も南九州市知覧町に鎮座しています。

 

薩摩の水からくり

毎年7月9日、10日に六月灯の行事として、境内において水からくりが上演されます。

水からくりとは、水車を動力にして人形を動かすもので、南薩摩各地にみられるものです。豊玉姫神社の水からくりは、知覧大工たちの手によって江戸時代後期にはすでにみられ、戦時中に一時途絶えましたが、昭和54年に復活され今年で40回目を迎えます。照和59年には国に無形民俗文化財として選択されました。

 

        【水 車】                      【六月灯の様子】

水車.jpg

六月灯の様子.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【平成29年 那須与一】

 

那須与一.jpg

 

 

制作

からくり人形の制作は毎年5月に始まります。地元の有志からなる保存会のメンバーが十数名で、人形や動力部の部品、背景、衣装などをわずか2ヵ月たらずの短期間で作り上げています。

その年の演目が決定すると、まず大まかな場面を決め、その場面に登場する人形を作っていきます。人形の頭や手足は使い回すことも多いですが、場合によっては一から作っていきます。一つの水車の力で多くの人形を動かすので、できるだけ軽い桐材を彫刻して色を付けます。

胴体の中には、人形が手を挙げたり、弓をひいたりと、それぞれの動きを実現するためのからくりを作ります。基本的に設計図はなく、どうすればこの動きができるのか、小さい力で動かすにはどうするかを製作者各々が考えながら人形を作っていきます。多くの人形はてこの原理を用いて、糸を引く運動を体の動きに変換する構造です。

 

  【頭を彫刻する】    【頭に髪をつける】    【刀を振る人形の構造】【立ち上がる人形の構造】

頭を彫刻する.jpg

頭に髪をつける.jpg立ち上がる人形の構造.jpg刀を振る人形の構造.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人形が出揃ったら、舞台に人形を配置していきます。大まかな位置は製作者で会議を重ね、イメージを共有することで決まっていきます。位置が決まった人形は、水車からの動力を供給する装置に接続していきます。

 

【舞台配置会議】

舞台配置会議.jpg

 

からくりの機構

この水からくりでは「からくりやかた」と呼ばれる建物の舞台で、多い時では20体以上もの人形が各々異なる動きをしています。舞台の床下には水車から人形に動力を伝えるための装置が設置してあり、一つの水車から多くの装置に力を分岐させることで、それぞれ違うタイミングで動くようになっているのです。

水車の動力を人形に伝えるには様々な工夫が用いられますが、中でも多く使われるのが歪輪(わいりん)です。歪輪とは文字通りいびつな輪で、水車の回転運動によって回り、滑らかに直径が変わることで上に乗ったテコ棒を上下させて糸をひっぱり、人形に動きを伝えるものです。

 

【歪輪とテコ棒】

歪輪とてこ棒.jpg

 

ツルギと呼ばれる装置は、水車の回転をそのまま回転運動として利用し、舞台の上手から下手へ、その後地下へ潜り上手から上がるという人形を巡回させる機構です。また横回転で前から後ろへ巡回させることもあります。

より複雑な動きでは間欠歯車と呼ばれるものも使われます。これは歯車の歯の一部が欠けたもので、しばらくの間は糸を巻き取り、歯がかみ合わなくなると、重りによって逆回転して糸を戻す機構です。

 

【間欠歯車】

間欠歯車.jpg

 

人形の中には、複合的な動きをするものもあります。例えば、人形全体を回転台の上に乗せ、回転しながら手を挙げるものや、レーンの上を走らせて、特定の位置に来たら糸が引かれて体が動くものなどです。これは内部のからくりと床下のからくりの間に、もう一つからくりを加えることでできる、いわば多様な技術の組み合わせです。

ほとんどの装置が接続されたら、全体を回し動きを確認します。全体として非常に複雑な仕組みで動いているので、思ったような動きが得られない時にどこに問題があるのかを把握するだけでも大変な作業です。特にいくつもの仕組みを複合的に使っている人形は、問題点の絞り込みがとても難しくなります。また単体を手で動かす時と、全体を水車で回す時では、摩擦の大きさや動きの滑らかさなどに差が出ることがあり、慣性や重力を使う人形は何度も調整を行って動きを整えなければなりません。

 

    【動力部の動きを確認する】                 【舞台下の動力部分】

動力部の動きを確認する.jpg

舞台下の動力部分.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【水車を設置する】

水車を設置する.jpg

 

進化を続ける文化財

水からくりは技術を伝承してきた文化財であって、本来であれば部品一つ一つ、工法に至るまで昔ながらのものが望ましいでしょう。しかし、同時に夏の風物詩として今なお人々に親しまれる存在であるためには、新しい工夫も必要だというのが製作者一同の考え方です。

動力を水車のみに頼っていることだけは今後も変わることはないでしょうが、例えば、摩擦をいかに減らすか、強度をいかに上げるか、今までになかった動きはできないかというようなことを、製作者たちは日々考えながら制作に励んでいます。

今なお進化し続けている文化財といってもいいでしょう。

 

 

演目

からくりの題材となるのは、神話、昔話、歴史物など多岐にわたります。

演目.jpg

 

    【平成24年 牛若丸と弁慶】              【平成25年 桃太郎と鬼ヶ島】

h24弁慶と牛若丸.jpg

h25桃太郎と鬼ヶ島.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【平成27年 忠臣蔵】

h27忠臣蔵.jpg

 

復活40年を迎える今年の演目は、明治維新150年、大河ドラマ「西郷どん」にちなみ、西郷どんに関係するものになりそうです。人形たちはどんな動きを見せてくれるのでしょうか。是非ご覧ください。

 

【今年の上演日時】

平成30年7月9日(月)・10日(火) 午前9時~午後10時(豊玉姫神社六月灯)

平成30年7月21日(土)       午後1時~午後10時(知覧ねぷた祭協賛)

※どなたでも無料でご覧になれます。

 

【お問合せ】

からくり保存会事務局(豊玉姫神社社務所) 電話  0993-83-4335



目次

ふるさとのお社探訪

  • 伊勢神宮・神宮大麻
  • ふるさとのお社探訪
  • リンク集